学芸員室の雑記帳

史料整理

先日、ある支店より支店開設時の歴史や地域経済とのかかわりについての問い合わせを受けました。外部団体からの講演依頼に際し、地域経済とのつながりを把握しておくことが目的です。

当該地域に、支店を設けた理由や支店開設当時の経緯がわかればとの思いで、史料の探索を行いましたが、その支店が開設された明治40年代には、地域で工業用の原動力が供給され始め、主力産業である繊維関係の工業化により商取引が活発化されたことが背景の一つではないかとのことがわかりました。また、60年以上前に発行された帝国興信所報(現帝国タイムス)の記事や掲載広告からは、当時の地域企業の産業勢力やお客さまとのつながりの一部が垣間見られたことに加え、長きに亘り弊社を支えてくださっている企業さまも確認でき、改めて感謝の念を抱きました。何より、この60年前の掲載広告や記事をきっかけに、地域企業の皆さまと新たにより深いつながりができることを期待しています。

史料の整理といいますと、とても地味な作業なのかしれません。しかし、一つの古い史料が、お客さまとの新たな歴史を刻み、地域企業や経済に少しでも貢献できると考えますと、地味な作業であっても史料に携わる者として冥利に尽きるなあと感じております。