学芸員室の雑記帳

気になっていた野球博物館を訪れて

いよいよ、今週末の22日(土曜日)にプロ野球日本シリーズが開幕します。
セリーグはヤクルト村上選手のホームランに沸き、パリーグもシーズン終盤まで混戦が続く目の離せないシーズンでしたが、日本シリーズでは投のオリックス、打のヤクルト、どのような戦いが繰り広げられるのか、今から楽しみで仕方がありません。

先日、以前から気になっておりました、文京区にある野球博物館を覗かせていただきました。1872年に伝来した野球が、今年でちょうど150年の節目とのこと。外国人教師として来日した米国人・ホーレス・ウィルソンが、第一番中学(現・東京大学)で英語を教えるかたわら、生徒に野球を教えたことが、はじまりとのことです。サッカーの伝来が1873年、ラグビーが1874年と言われておりますのでほぼ同時期です。明治に入り外国人教師たちが持ち込んだ趣味としての西欧スポーツが、欧米列強と肩を並べるべく人材育成のために教育に取り入れられた背景から、近代国家形成の歴史とスポーツの結びつきを改めて感じました。

さて、博物館には、野球の始まりから、甲子園、プロ野球の誕生、メジャーリーグ、国際大会に関する記録まで、幅広く展示が行われておりました。明治時代の野球道具として、現代とは大きく異なる形状のグラブ(複製品)も展示されており、野球の進化に驚かされました。日本では1890年頃まで捕手だけがグローブを使い、1900年頃よりようやく他の選手もグローブを使用するようになったそうです。王選手の756号ホームランボール、今シーズン記録となったヤクルトスワローズの村上選手の5打席連続ホームランバットまで、見所が満載でした!
温故知新、どんなことでもそうですが、歴史を知ると、見方も変わるものです。これから始まる日本シリーズも、期待される熱戦だけでなく、村上選手の打撃シーンに強打者ベーブ・ルースの姿を重ね、野球の歴史と進化を感じながら観戦を楽しんでみようと思います。