学芸員室の雑記帳

Museの表紙

『帝国データバンク史料館だより Muse』は、Vol.37以降、巻頭特集に関連する資料や展示の写真を表紙に起用しています。

被写体の選定は、特集のテーマとの結びつきや、紹介展示を読み解く手がかりとなることを念頭におき、毎号担当者が丁寧に検討しています。また、Museの表紙として見どころのある、歴史や、見栄えや風合いを感じる資料だということも重要なポイントです。長年当館の資料を撮り続けてくださっているカメラマンさんと、同じく長年Museの制作に携わっていただいているデザイナーさんのお力もお借りして、文章で伝える資料の魅力とは一味違う、資料自身が語る歴史をお届けすべく、こだわった表紙づくりをしています。

先週は、現在制作中のVol.42の撮影を行いました。今回表紙を飾るのは、1918(大正7)年に帝国興信所が制作した3枚の絵はがきです。受け入れの記録を確認すると、2011年にオークションサイトで3枚のうちの2枚を入手し、その後、2016年に同サイトにて、もう1枚の絵はがきを入手していました。当社が同時代に制作した絵はがきも3枚で1セットになっていたことから、これらも同様のセットものであると想像されます。

100年の時を経て、それぞれが保存状態良好のまま当社に戻ってきたのは、奇跡的なことと言ってよいのかも知れません。印刷されてから、どれだけ多くの人の手にわたり、どこで保管され、どれだけの距離を旅して再び当社にたどり着いたのでしょうか。MuseVol.42の表紙写真では、この3枚のはがきたちが、自らたどってきた歴史を物語っているかのような佇まいで写真におさまりました。刊行されましたら、ページをめくる前に、ぜひご注目いただけましたら幸いです。

MuseVol.42は3月上旬の刊行予定です。どうぞお楽しみに。