学芸員室の雑記帳

手土産品は忘れずに

先日、史料館でアーカイブズに関する講座に参加させていただきました。テーマはデジタル資料について。今後の資料管理の在り方を模索するための、大変貴重な時間となりました。他館の事例や法律を交えた資料の見方など、先生方の豊富な知識量に圧倒され、お話を聞くだけでも精一杯でしたが、知見を広げる良い機会だったと感じます。

時代が進み、ここ20年ほどで急速に身の回りのデジタル化が発達していきました。技術の進化に日々驚かされるばかりです。さてそんな目まぐるしい21世紀を生きる中、手元にあるのは20世紀に作成された当社の会議資料。1913年から続く全国支店長会議(当初は主任会議)の資料整理に取り掛かっております。

内容は、当日に配布する決算報告書類、記録冊子のほかに、会議を開催するにあたり担当部署が用意した資料の元データ“会議の準備資料”が残されていました。

ここ数年でWeb開催、ZOOM、ペーパーレス化などが広まり、自分もすっかりその形式に慣れてしまいましたが、昭和60年代までさかのぼると準備資料がすべて手書きで作成されており、出席者リスト、会場予約のFAX文面、会議の座席表、講師の紹介文、垂れ幕の題字、ホテルへの案内図にいたるまで、切り貼りをくり返し、メモ書きと修正ペンで紙が埋まるほど試行錯誤していた様子が伝わってきました。

会議運営役の注意事項も手書きのメモで残っており、全国から集まる支店長への手土産の徹底が記されています。現代でも会議準備の繁閑は変わらず大変な作業だと思いますが、会議開催にいたるまでの足跡を手に取って見ることができ、アナログ・手作業の持ち味を感じますね。

しかしアナログ資料に喜んでばかりいられず、会社の歴史と共に増え続ける資料と収蔵庫のキャパの戦いは、今後も検討していかなくてはいけません。
いつまでもあると思うな棚と場所
明日も資料整理に邁進してまいります。