学芸員室の雑記帳

体力勝負

広告『商海時報』第2巻第10号(1901年10月)

原稿の〆切に追われたり、事務的な業務に追われていると、ついPCの前に座っている時間が長くなりますが、腰を入れて収蔵庫の整理をすれば、保存箱の上げ下ろしだけでも結構な肉体労働で、学芸員の仕事は体力勝負であることを実感します。温湿度管理された収蔵庫は時に寒く感じることもあり、長く段ボールに詰められていた資料を紐解く際の埃など、風邪気味には過酷な環境です。来週には大規模な資料の引っ越しが控えておりますので、体を鍛えて臨みたいと思います。

展示の案内も体力勝負。おそらく解説を聞く方もエネルギーを消費されるかとは思いますが… 開催中の創業者の企画展には、通常より社員の見学が多く、創業の原点に立ち返る場となっているようです。当社には「詐欺師から商人を守る」という使命がありますが、創業期の広告に「詐欺師虚業家は商業界の信用を破毀するものなり、故に本社はこれが撲滅を期す」と、より強い表現がありました。展示解説や研修で併せて紹介していこうと思います。当時の人はことばも強く、想いも強く、エネルギーに満ち溢れた人を紹介するには、それなりに体力を要します。

先月から「学芸員室の雑記帳」では、隔週で日々のつぶやき「今日の●●」を発信しています。今日の展示室、今日の学芸員室、今日の収蔵庫… さまざまな場所から、TDB史料館の風景や裏側をつぶやいています。次回もお楽しみに。