学芸員室の雑記帳

続・定点撮影

「自宅の周りや、通学路にある建物が建て替わり、しばらく時間が経過すると、以前そこにどんな建物があったか思い出せないという経験はありませんか?」
「建物の内部についても、模様替えや、リニューアルが行われた後、以前の設えが記憶から消えてしまうという経験もあるのではないでしょうか?」

大学時代、建築学の授業で先生から投げかけられたこの問い。今でも時々当時の記憶がよみがえります。思い出すのは、うっかり記録を取り忘れて大後悔した時。生活環境で起こる変化は、人の記憶をすぐに上書きしてしまいます。授業では、「人は忘れる」ことを前提として、常日頃から身の回りを撮影しておく重要性が説かれました。以来頭では理解していますが、一番記憶が鮮明な今、忘れる未来を想像して「記録する」難しさにたびたび直面します。せめて変わることが事前に判明している場合には、その前と後。このチャンスを逃したくないものです。

先週末、その重要なタイミングが到来しました。先の雑記帳でも触れた、学芸員室のレイアウト変更です。まずは事前に細かく学芸員室の撮影を行いました。キャビネット5つ分にぎっしりと詰まった資料や書類、書籍を一度すべて出し、新しい什器に入れ替える作業も行いましたが、キャビネット内部も記録撮影したことが功を奏して、30箱ほどの段ボールの中身を円滑に新しい什器へ戻すことができました。何より変化した学芸員室の前後の姿をしっかりと記録に残すことができました。

今後も時代とともに移り行く日常の環境を、機をとらえて記録し、会社の足跡として残していきたいと思います。まもなく刊行する「帝国データバンク史料館だより Muse」Vol.48でも「定点撮影」の一端をご紹介しています。このWEBサイトでも全ページアップロードいたしますので、公開をぜひお楽しみに。