学芸員室の雑記帳

櫻巴

昨年1月21日〜8月22日の会期で開催した企画展「創業125周年記念 創業者 後藤武夫」。
展示では、信用調査の黎明期に独力で信用調査会社を興し、数多くの試練を乗り越えながらその発展に尽くした、帝国興信所の初代後藤武夫の生涯をご紹介しました。

開催中は、多くのお客さまが、初代に関心を寄せてくださり、さまざまなご感想やご質問をいただきました。中には、展示に表記されていた初代の号(ペンネーム)、「櫻巴(おうは)」にまでご注目くださったお客さまもいらっしゃいました。

企画展で辿ることができる初代の人物像は、豪快で熱血漢。たしかに、薄紅色の桜の花そのものとは、イメージが少し異なります。お客さまは、なぜ「櫻」という文字を号に使ったのか疑問に思われたご様子でした。しかし、帝国興信所は、かつて本社があった桜橋(現在の中央区新富町)にちなみ、長い間、桜のマークの社章を使用していました。また、初代が好んだ花であったことをお客さまにお話しすると、号の謎解きとともに、その人柄を想像できたと喜んでくださいました。

初代の号、「櫻巴」は、ペンネームであると同時に、愛称でもあったことが資料に残っています。企画展でも取り上げましたが、初代が亡くなった際には、立教大学教授 本荘季彦氏から「後藤櫻巴君の事ども」と題した追悼文が寄せられました。また、初代を直接知る元社員は、後藤櫻巴先生と記し、随筆に書き残しています。

掲載文章に添えられた二文字の号。桜のように潔く、どこか愛嬌があり、多くの人に親しまれた初代を象徴しているようにも感じられます。

さて、次回よりこの雑記帳も、「号」でお届けする予定です。
初代のように雅な号とは限りませんが、雑記帳の趣旨は変わらず、担当者が思い思いに、当館の情報や日々の雑感を発信してまいります。
どうぞ引き続きお付き合いいただけましたら幸いです。