学芸員室の雑記帳

金利のある世界は、はるか昔から

日本銀行の利上げによって金利への関心が高まる中、「金利のある世界」という言葉もすっかり身近になりました。
もっとも、利息を伴う貸し借りが始まったのは現代になってからのことではありません。貸し手と借り手の間に「信用」があるからこそ貸し借りが成り立ち、その対価として利息が生まれる、そんな考え方は、当館でご紹介している「信用取引」とも深く関わっています。
ご存じの方も多いかと思いますが、取引に利息を付けるという考え方には非常に長い歴史があります。その起源をたどると、なんと約3,800年前の古代メソポタミアにまでさかのぼります。現代の金融政策と古代の貸借制度を単純に比べることはできませんが、ハンムラビ法典には貸借の利子率を定めた規則が記されており、紀元前18世紀にはすでに債権・債務や利子(利息)の概念が存在していたとされています。
ちなみに、その規則では銀による貸付金利の上限は20%、穀物という商品貨幣による貸付利率は33%だったそうです。穀物は保存や回収に伴うリスクが大きかったため、高い利率が設定されたと考えられていますが、現代の感覚で見ても、利息制限法の上限を超えており、当時の借り手は返済に少なからず苦心したのではないかと思いを巡らせてしまいます。

歴史を振り返ると、「信用に価値を見いだし、その対価として金利が存在する」という考え方は、今も昔も大きく変わっていないのかもしれません。日々のニュースで耳にする金利の話題も、実ははるか昔の人々が築いた仕組みの延長線上にあります。そう考えると、「金利のある世界」も少し違った姿に見えてくるのではないでしょうか。