学芸員室の雑記帳

紙面が伝える経済、写真が語る暮らし

既にこの雑記帳でも何度かお知らせの通り、当館では現在、企画展示「昭和100年・『帝国タイムス』終刊記念 帝国興信所が報じた昭和経済」(後期)を開催しています。

明治39(1906)年、『帝国興信所内報』として創刊以来、名称の変更を重ねながら、119年にわたり日本経済を報じてきた『帝国タイムス』。後期展示では、昭和30年以降に焦点を当て、高度経済成長や東京オリンピック、2度のオイルショック、バブル景気などを報じた実物大の紙面をご紹介しています。

また、パネルには当時を象徴する写真も添え、時代の空気を感じていただけるよう工夫しました。

年代を追って展示を見ていくと、人々が思い描く「豊かさ」の姿が少しずつ変化していく様子もうかがえます。東京オリンピックや、3C(カー・カラーテレビ・クーラー)に象徴される高度経済成長期の写真からは、便利で快適な暮らしへの期待が感じられます。一方、オイルショックの時代には、それまで続くと思われていた経済成長が揺らぎ、不安や混乱に直面した人々の姿も見えてきます。その後、日本経済は変化に対応しながら発展を続け、バブル景気の時代には、モノを所有するだけでなく、消費や余暇そのものを楽しむことが豊かさの形となっていきました。ディスコの写真に映る華やかな光景からは、明るい未来を信じていた当時の高揚感や時代の熱気が伝わってくるようです。

帝国興信所は企業の動向や景気の変化を見つめ、一貫して経済に特化した情報を紙面で報じ続けました。展示している紙面を、当時の人々の息づかいを伝える写真と重ね合わせて見ることで、昭和という時代がより立体的に浮かび上がってくるかもしれません。

激動の昭和を報じた『帝国タイムス』の紙面と、その時代を生きた人々の暮らしや思いを今に伝える写真。展示をご覧の際には、ぜひその両方に目を向けながら、時代をふり返っていただければ幸いです。

会期は10月16日(金)までです。
みなさまのご来館をお待ち申し上げております。