2021年1月28日(木)
大学入学共通テストを機に振り返る

帝国興信日報1932年3月31日号
30年間続いた大学入試センター試験に代わり、今月中旬、初めてとなる大学入学共通テストが全国で実施されました。今まで同様、終了後に新聞等で公開されたその全容。上記は、日本史A(第3問C)に記載されていた設問の一部です。受験生のバイブル、山川出版社の日本史の教科書における団琢磨の記載は、わずか数行だったように記憶していますが、今も昔も入試で頻出する歴史上の重要人物であることに違いありません。今回も、海外での経験を糧とし、活躍したうちの一人として取り上げられ、明治期から昭和初期の国内外の動向について関連問題が出題されていました。
この設問を読みながら、不意に思い出した当社の資料があります。団琢磨と同郷であり、交流のあった当社創業者後藤武夫が、その死を悼んで、『帝国タイムス』の前身『帝国興信日報』に執筆した、全16回(1932年3月16日初回)にもおよぶ連載です。「嗚呼!團琢磨男」と題されたその記事には、実業家であり、海外との親善に尽くした、団琢磨の生い立ちや功績、人となりや家庭生活、後藤武夫との思い出のエピソードが、事細かに紹介されていました。
歴史資料に触れることは、明記された史実を知り、行間にちりばめられた、当時の時代の息吹を感じることができる貴重な体験です。教科書での学びをより深い理解に変える力が、そこにはあると改めて感じたような気がします。
自らを省みると、年号や事象を拾い集めて暗記することで精一杯だった大学の受験勉強。しかし、当時必死に覚えたひとつひとつの事柄が、大きな気づきへと発展する瞬間を、今でもなお経験することがあります。コロナ禍で迎えた、初の大学入学共通テストは、受験生の方にとってさぞ大変だったことと想像しますが、努力の末、手に入れた知識の種から、今後も花が咲き続けていくことを、心から願いたいと思います。そして当史料館も、信用調査に関係する資料を広く公開できる場であり続けられるよう、努力していきたいと心新たに感じました。
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