2021年4月 8日(木)
信用で回す経済

先日訪れた書店では、関連書籍のコーナーが設けられ、たくさんの人が足を止めていました。伝記や、名言集、ビジネス本など、さまざまなテーマで出版された書籍が平積みされ、その豊富な種類と量は、渋沢の功績に対する関心の高まりを物語っていました。
特設コーナーを見て興味深く感じたのは、数年前まで渋沢にあまりフォーカスしていなかった児童書の偉人伝や学習まんがが、近年は各出版社から刊行されていたことです。
手に取った小学校高学年向けの書籍では、1873(明治6)年に、渋沢自ら設立にかかわり、総監役に就任した第一国立銀行が、大株主である小野組の破綻をきっかけに多額の損失を被り、存亡の危機に直面したというエピソードを取り上げていました。小野組の番頭である古河市兵衛は、それまでの融資に感謝を表し、個人の資産すべてを差し出し、銀行の再建と日本経済の未来を守るよう直訴。人の心を動かし、大きな資金を動かしたその原動力は、渋沢が経済活動の中で重視した「信用」であったと描かれていました。
目には見えない経済や信用という社会の仕組みへの入り口が、児童書を通して子どもたちにやさしく開かれている様子を知り、改めて、渋沢が目指した「信用で回す経済」について考えさせられました。
さて、このほど刊行しました『帝国データバンク史料館だよりMUSE』Vol.38の巻頭特集では、渋沢栄一と信用調査業の関わりや、当社前身の帝国興信所とのゆかりを紹介しています。経済における「信用」の大切さ、「信用調査」の必要性を説いた渋沢の言葉と共に、その足跡を触れていただく機会となりましたら幸いです。
『帝国データバンク史料館だより MUSE』Vol.38は こちら から。
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