学芸員室の雑記帳

拡大しても

帝国興信所が取材した 「全国金満家大番附」より抜粋

皆さまはじめまして。
今年から新たにメンバーとして加わりまして、雑記帳は本日が初投稿となります。
文章を書くことに疎遠な日々。このような稚拙な文章を雑記帳に載せてよいのかと、不安が残ったまま投稿日になってしまいました。至らぬ点も多々あるかと存じますが、温かく見守っていただければ幸いです。

今回は史料整理の作業中に思ったことをひとつ。

紙の史料を取り扱うことが多く、その中で旧字体(旧漢字)をよく目にします。

同じ部首が新字体でも使われていたり、全体の形が共通していたり、どこかで見かけたことがあったり…など、習ったことがなくても、なんとなく読めるものが比較的多いのではないかと感じておりますが、中にはまったく見当もつかないものもあります。

それではこちらの「辯」という字、なんの旧字体かわかりますでしょうか。
(私は拡大して凝視しても読めず、恥ずかしながら「辯 新字体」で検索をしました…)

答えは「弁」です。
「弁」の旧字体は他にも瓣・辨・辧などがあり、新字体1つに対して旧字体が複数あること、それぞれ意味があって使い分けていたことをはじめて知り驚きました。

自分の勉強不足は重々承知ですが、今後は生活の中で触れる機会がより少なくなり、いずれそれらの文化があったことも影をひそめていくのでしょうか。

日本語という同じ枠組みにカテゴライズされておりますが、時代の流れとともに、ゆっくりとその形を変えていくことに諸行無常を感じます。

当館には明治時代からの文書が展示されており、旧字体に限らず言い回しや文体なども当時の時流を垣間見ることができます。
経済の歴史というだけでなく、そういった見方で楽しむのもよいかもしれませんね。

では、もっと漢字を読めるように勉強しますので、と辯解をさせていただきながら。