学芸員室の雑記帳

麦茶の誘惑

頭のてっぺんからつま先まで干上がってしまいそうな猛烈な酷暑が続き、雨が恋しくなってきたかと思えば、局所的な豪雨や雷雨に驚かされます。まさに夏の盛りといったところでしょうか。

観測史上もっとも暑い年、国内最高気温を更新、異常気象、未知の領域…国内外でも、この酷暑をさまざまな言葉で表しています。

先日の雑記帳で気温上昇の推移は単純な右肩上がりではないことに触れているとおり、およそ20年前の7月の平均気温は28.5℃(2001年)で、今年は28.7℃。0.2℃の差はありますが、時代を遡っても時折酷暑の年があったようです。今回はそんな当時の夏を、当社社員の言葉、「記者日誌」から振り返ってみたいと思います。

記者日誌は帝国データバンクが発行している『日刊 帝国ニュース』にて1999年10月より新企画としてはじまり、倒産情報を取り扱う社員を中心に、業務の日常が備忘録のように綴ってあります。

当社の企業理念のひとつでもある「現地現認」を体現するように、倒産情報を追う取材記者は、春夏秋冬関係なく現場へ足を運びます。クールビズの言葉もなかった時代、夏でも背広が必須だったとのことで、「ホンコンシャツではネクタイを締めなければならないのであまり涼しくない。」という言葉を見つけました。彼らの苦悩を感じますね。

また、「暑いからといって上着を着ないで取材に出ることは仕事柄許されるものではなく…」という言葉からは、取材に対する真摯な姿勢がわかります。なかには、取材先で出されたお茶にも、水分を取って汗をかくと取材に支障が出るのであまり手を付けないという、徹底した精神の方もいました。(ただしそのあと、炎天下を歩いたあとに麦茶を出されると自然と手が伸びてしまうと、ユーモラスに綴っていました)

ここで抜粋した内容はフランクな文面でしたが、時代を象徴する大型倒産を取り上げたものや、緊迫した記者のリアルな取材など、記者日誌にはさまざまな状況が記録されています。いずれ皆さんにもご紹介できたらと思います。

まずはこの夏を元気に乗り切りましょう。麦茶でも飲んで。