学芸員室の雑記帳

至誠、学問、そして勉強

当館では今週から、テーマ展示『渋沢栄一と信用調査業』を開催しています。
会期最初のお客様は、修学旅行でご来館くださった愛知県の中学3年生、3名様でした。

当社のことは、今回の企業訪問をきっかけに知ったとのこと。まずは会社概要や、信用調査の流れについてお話しをして、社史、信用調査の歴史をパネル展示や資料を見ながらご案内。そして最後に、スタートしたばかりの渋沢のテーマ展示をご見学いただきました。

展示の中で、中学生のみなさんが最も注目していたのは、実物初公開となった当社に残る渋沢栄一直筆の色紙です。まもなく一万円の肖像となる偉人が揮毫した書を目の当たりにして、「おぉー」と声が上がりました。遠慮がちながら実物を見た感動が伝わってきました。

また、当社(帝国興信所と実質的には一体であった日本魂社)の出版物に渋沢が寄稿した文章を紹介した展示にもしっかり目を通していました。

 人が人となるに最も大切なことは第一に至誠であり、
 第二に学問、第三に勉強である。
 これが人物となり得る三大要素であると思ふ。
 ただすべての人が世に立つにあたつて
 尚この他に耐忍が必要である。

読み終えてかすかに聞こえてきたのは「はぁー」というため息。
中学生のみなさんにとってなじみのない信用調査の世界。渋沢の格言にも触れて、少し重たい企業訪問、史料館見学になってしまったのではと心配になりましたが、自由見学の時間には気になった展示をきちんと記録し、お帰りの際には何度も振り返り挨拶しながら次の訪問先に向かわれました。何かひとつでも、記憶にとどめていただければと願いつつ、一方で、彼らの見学の様子に、至誠、学問、勉強の姿を見た気がして、背筋が伸びる思いでした。

今回のテーマ展示では、渋沢栄一が信用調査業に残した大きな足跡と、当社前身の帝国興信所とのゆかりのエピソードをご紹介しています。のちに『論語と算盤』の一節の基になった寄稿文など、貴重な資料も必見です。みなさまのご来館を心よりお待ち申し上げております。

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