学芸員室の雑記帳

すごい実業家の…。

今月上旬、小学生が知っておきたい国内外の実業家48人を紹介した書籍『すごい実業家のアカン話』(ナツメ社)が刊行されました。
子どものみならず、大人も興味を惹かれるユニークなタイトル。さらには当館定期刊行物「帝国データバンク史料館だよりMuse Vol.39」にご寄稿いただいた、明治大学経営学部教授の佐々木聡先生のご著書ということで、先日さっそく手に取りました。

失敗続きでなかなかうまくいかない。お金がなくて思うようにできない。時代の変化に翻弄される…。本書には、古くは江戸時代から現在にいたるまで、会社を興し、事業を立ち上げた実業家たちの、失敗のエピソード「アカン話」が満載しています。

逆境をバネに東洋の時計王へと成長した服部金太郎、野球が好きすぎた水野利八、ツイていない少年が大企業の経営者となった稲盛和夫、落ちこぼれの劣等生がのちに世界に進出した似鳥昭雄などなど…。
今や偉業を成し遂げたとして知られる多くの実業家も、実はたくさんの失敗を重ねていたことを知ると、以前よりも身近な人物に見えてくるから不思議です。

なかでも最も印象に残ったのは、それぞれの盛大な「アカン話」とともに書かれていた、実業家たちの失敗の乗り越え方でした。時に創意工夫し、時に心入れかえ、事を成し遂げるまであきらめることなく前進し続けたその姿は、先行きの見えない現在に生きる私たちに、たくさんの示唆を与えてくれるように感じられました。

ちなみに、Museで佐々木聡先生にご紹介いただいた、花王の創業者である初代長瀬富郎は「全財産を失って奮起した」実業家として。法政大学の湯澤規子先生にご紹介いただいた、中村屋の創業者、相馬黒光は「大志をいだいたアンビシャス・ガール」として書籍内にて取り上げられています。
大人も子どもも楽しみながら学べるこの一冊。Museと合わせて、読んでみてはいかがでしょうか。