学芸員室の雑記帳

かいこ

先日、趣味のひとつであるクラシックカーのイベントに参加してきました。新潟県三条市にある共和工業株式会社(以下、共和工業)が主催するイベントで、昭和時代の車やバイクが会場に集い、楽しい時間を過ごしました。

この三条市は県下有数の工業都市であり、隣接する燕市とともに金属加工を中心として栄えていきました。その昔、洪水被害と雪の影響で作物が実らない時期がある燕・三条地域では、和釘の製造を副業とするところが増えていきます。その後、製品の幅が広がり、金属加工が集積するまちとなりました。

当館が2018年に開催した特別展「地場“讃”業―伝統と革新の軌跡―」でも、この地域を取り上げています。

さて、そんな金属加工のまちで治工具、金型を製作する会社として創業した共和工業ですが、自社の旧工場にて「KYOWAクラシックカー&ライフステーション」を運営しています。社員にモノづくりへの誇りを感じてほしいと、部品の製造に携わってきた自動車の収集からはじまり、移転をきっかけに旧工場をクラシックカーなどの展示施設として公開しました。

この施設の特長は、社員の教育向けに収集していた経緯もあり、オート三輪、軽トラ、ファミリーカーなど、生活になじんだ普段使いの車をメインに展示していること。大衆車は生活とともに使い古されていくため残存数が少なく、また、クラッシクカー展示といえば名車やスポーツカーが定番なので、かえって貴重なコレクションかもしれません。

イベントの会場から近いとのことで、せっかくなので覗いてみました。

館内にはズラリとクラッシクカーが並び、ご年配の方々は目を輝かせてそれぞれの時代を回顧していました。となりの車両では小さな子が運転席に座り、意気揚々とハンドルを握っています。「さわるべからず」が博物館の基本ですが、この施設では実際にふれ、運転席に座って、先人たちの知恵の結晶を体感することができます。見るだけでなく体験できることが、子どもから大人まで楽しめるポイントでしょうか。

2階、3階にはバイク、自転車、農機具、電化製品、カメラ、雑誌、おもちゃ、なんとトイレまで。高度経済成長期までの生活用具が館内いっぱいに広がっています。ここの展示物だけで生活ができそうです。かつての暮らしを余すことなく集約した、まさに「ライフステーション」ですね。そんな時代の流れを懐古しつつ…と言いたいところですが、私自身はこの時代を生きておらず、展示物もはじめて見るものばかり。はじめてなのに、なぜか懐かしい。この不思議な感覚がレトロの魅力なのでしょうか。