学芸員室の雑記帳

beyondコロナ

新型コロナウイルスの感染法上の分類が、今週月曜日から季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。無論、次から次へと変異する未知のウイルスとの戦いが終わったわけではありませんが、beyondコロナという新たなステージへの移行により、漸くコロナ前の日常を取り戻せるのではないかとの期待を感じています。

コロナ禍における当館の運営を振り返っても、休館、そして開館後もフェイスシールドの着用、タッチパネルの抗菌コーティング、そしてお客さま同士のディスタンスの確保など、他館の事例を参考にさせていただきながら、手探り続きの3年間でありました。「3密」「クラスター」「ソーシャルディスタンス」「濃厚接触」など、次々と生まれるコロナ用語への対応に苦慮しながらも、ホームページにVRを導入するなど、ご来館が難しい方にも展示をご覧いただける仕掛けができたことは、当館にとって前進だったと思います。現在はテーマ展示「関東大震災と帝国興信所」をVRでもご覧いただけますので、是非ご高覧ください。

さて、全く話は変わりますが、この雑記帳ネタ探しのために、収蔵庫で過去の『帝国ニュース』を眺めていたところ、今から28年前の1995年5月11日号掲載の「第一生命サラリーマン川柳」が目に留まりました。世相を反映するサラリーマン川柳、バブル経済崩壊後の一句をご紹介します。

「おごりだと 思った昨日の 領収書《経理担当女子》」。

景気低迷期の懐が厳しい中でも社内での宴席は行われていた様子が謳われています。
この句を目にして、歓迎会すらできなかったコロナ禍は、これまでに経験したことのない非常事態だったと改めて感じつつ、この3年間に迎えた新たなメンバーの歓迎会を開催したいとの気持ちが沸々と湧いてきました。

「マスクとり 晴れて(た)素顔で かんげい会」

コロナ禍を乗り越え、漸く、そんな機会を設けられそうです。